2005年10月28日
倉橋隆行の不動産投資講座 第41号
【減価償却費は支出のない経費】
皆さんは、上記の不動産の投資指標(国際標準言語)のことは知らなくても、減価償却費という言葉は耳にしたことはあると思います。
減価償却費とは、建物の価値は年数を重ねるごと下がるものとみなされている支出のない経費です。
どれくらい価値が下がっていくかというと、物件によって償却率は異なりますが、購入価格の10%を残し(残存価格)すべて償却されていきます。
その償却額は経費(損失)として毎年計上できることが税法で認められています。そして、この減価償却費は不動産投資の税金対策上に欠かせない指標のひとつです。
償却額の出し方は、購入価格×0.9×償却率となります。
たとえば、鉄筋コンクリート造りの賃貸マンション1棟を2億円で購入したとします。このうち建物分を1億円としたら、初年度に経費と落せる減価償却費は、1億円×0.9×0.022(耐用年数47年の償却率)=198万円となります。
したがって、1年間で198万円ずつ経費として認められているということです。
この総額2億円の物件で1億6000万円借りた場合、元利均等による元金返済分は、減価償却費198万円より多く、1年目436万円、2年目450万円、3年目463万円と、右肩上がりで増えていきます。
つまり、元金返済分は資本的支出なので所得税を払うことになります。
この所得税にかかる資本的支出分を減価償却費で相殺するために、時期を見て、元利均等方式からから元金均等方式に切替るのです。
ここで前に述べた「元金の返済は資産であり、経費とならない」ということを思い出してください。元利均等支払方式では、当初は金利分を多く支払うことになり、元金の返済分は反対に、後になればなるほど多く支払うことになり、右肩上がりに傾斜を描いていきます。
元金返済分は資本的支出で現金が入るわけではありませんが、資産に変換するわけですから所得税がかかってきます。そこで、どうするかというと、元金分の返済額が大きく増える年度を見計らって、銀行へのADSを元利均等方式から元金均等支払方式(元金分のみ定額支払)に切り換えるのです。
そうすれば、減価償却費と相殺され、節税対策になるというわけです。
その際、他の諸経費との折り合いをみて判断することになります。この節税の投資テクニックは、投資物件を買い増していくときに、より効果的になります。
図を見てください。
http://www.cfnets.co.jp/vol86.htm
まず上の長方形は、最初に買った大型投資物件の元利均等支払均等方式の図を表しています。返済期間は25年で縦軸がADS(年間元利返済額)で横軸が返済期間、斜線の上方部分が金利分、下の部分が元金分、そして、その長方形の左端からなだらかに上へ伸びているのがキャッシュフローです。
その下の図は、5年後に買った再投資物件で、返済期間を20年にしたため返済終了の年が同じになっています。前述したように、不動産投資の一番大きな目的はキャッシュフローをいかに多く得るかということです。
階段のように重ねあった二つの図をみると、ともに最初のうちは利息分が多いので、元金分が目立っていませんが、中ほどあたりから、元金分の面積が目立って広くになっていき、キャッシュフローの面積を超えていくのがわかります。
これは、どういうことかというと、資本的支出が増え、資産増となったので所得税が多くかかってきますよ、という目安となっています。そこで、支出のない経費である減価償却費を活用するのです。三つの目の投資物件を買うときには、元利均等ではなく、減価償却費を初年度から多く見こめる元金均等支払にして、急増していく所得税と相殺させるのです。
このように、不動産投資は、経済環境の変化、金利の変動とともに物件の状況、経費のあり方などにも柔軟に対応していくことが求められるビジネスなのです。
そして、最終的に効率の良い収益構造にして、少しでもキャッシュフローを多く得るようにしていけばいいのです。ですから、初期プラン・中間プランも大事ですが、なによりも投資した物件をできるだけ長く持たせることです。
だから、不動産投資は長期的な運用ビジネスであり、今すぐお金を欲しい人には向いていない、将来に向ってお金の欲しい人に向いているというのです。
加えて、不動産投資は長期ビジネスですから、集客力のある建物の保持が重要なポイントになります。
すでに勉強してきたことですが、オーナーは必ず修繕費を積立ておき、建物のメンテナンスが可能な経済的な余力を残しておくことです。
とくに私は、投資物件として分譲マンションを求めているクライアントへは「分譲マンションを買うなら、管理組合がしっかりしていて、長期修繕積立金制度が設けられている物件にしなさい」とアドバイスをしています。そうすれば、修繕積立金を投資する人が自分で、キャッシュフローから捻出して貯めて置かなくて済みます。
また、最近の建物はそうではなくなってきましたが、むかしからの日本の家や建物は粗悪で、ヨーロッパやアメリカでは当たり前の100年、120年長持ちするアパートや住宅などにはめったにお目にかかれない。
不動産投資はオーナーの一代限りのものではなく、半永久的に続くものです。
長い期間、継続的に安定した家賃収入を得るためには十分な修繕費を確保し、まめにメンテナンスを行ない、ときにはリフォームと、建物の価値を保っていくことです。
オーナーの中にはキャシュフローを使い果たし、メンテナンスができなくて、先の大きな利益を得る前に投資物件を手放す人も少なくありません。
そのような失敗を避けるように心がけてください。
なお、住宅用物件の償却率は以下の通りになっています。
「鉄骨鉄筋コンクリート造りまたは、鉄筋コンクリート造り」0.022、「金属造りのもの(骨格材の肉厚が四ミリを越えるもの)」0.030、「軽量鉄骨造り」0.037、「木造または合成樹脂造りのもの」0.046。
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・不動産投資の基礎知識in渋谷 11/13(日)
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皆さんは、上記の不動産の投資指標(国際標準言語)のことは知らなくても、減価償却費という言葉は耳にしたことはあると思います。
減価償却費とは、建物の価値は年数を重ねるごと下がるものとみなされている支出のない経費です。
どれくらい価値が下がっていくかというと、物件によって償却率は異なりますが、購入価格の10%を残し(残存価格)すべて償却されていきます。
その償却額は経費(損失)として毎年計上できることが税法で認められています。そして、この減価償却費は不動産投資の税金対策上に欠かせない指標のひとつです。
償却額の出し方は、購入価格×0.9×償却率となります。
たとえば、鉄筋コンクリート造りの賃貸マンション1棟を2億円で購入したとします。このうち建物分を1億円としたら、初年度に経費と落せる減価償却費は、1億円×0.9×0.022(耐用年数47年の償却率)=198万円となります。
したがって、1年間で198万円ずつ経費として認められているということです。
この総額2億円の物件で1億6000万円借りた場合、元利均等による元金返済分は、減価償却費198万円より多く、1年目436万円、2年目450万円、3年目463万円と、右肩上がりで増えていきます。
つまり、元金返済分は資本的支出なので所得税を払うことになります。
この所得税にかかる資本的支出分を減価償却費で相殺するために、時期を見て、元利均等方式からから元金均等方式に切替るのです。
ここで前に述べた「元金の返済は資産であり、経費とならない」ということを思い出してください。元利均等支払方式では、当初は金利分を多く支払うことになり、元金の返済分は反対に、後になればなるほど多く支払うことになり、右肩上がりに傾斜を描いていきます。
元金返済分は資本的支出で現金が入るわけではありませんが、資産に変換するわけですから所得税がかかってきます。そこで、どうするかというと、元金分の返済額が大きく増える年度を見計らって、銀行へのADSを元利均等方式から元金均等支払方式(元金分のみ定額支払)に切り換えるのです。
そうすれば、減価償却費と相殺され、節税対策になるというわけです。
その際、他の諸経費との折り合いをみて判断することになります。この節税の投資テクニックは、投資物件を買い増していくときに、より効果的になります。
図を見てください。
http://www.cfnets.co.jp/vol86.htm
まず上の長方形は、最初に買った大型投資物件の元利均等支払均等方式の図を表しています。返済期間は25年で縦軸がADS(年間元利返済額)で横軸が返済期間、斜線の上方部分が金利分、下の部分が元金分、そして、その長方形の左端からなだらかに上へ伸びているのがキャッシュフローです。
その下の図は、5年後に買った再投資物件で、返済期間を20年にしたため返済終了の年が同じになっています。前述したように、不動産投資の一番大きな目的はキャッシュフローをいかに多く得るかということです。
階段のように重ねあった二つの図をみると、ともに最初のうちは利息分が多いので、元金分が目立っていませんが、中ほどあたりから、元金分の面積が目立って広くになっていき、キャッシュフローの面積を超えていくのがわかります。
これは、どういうことかというと、資本的支出が増え、資産増となったので所得税が多くかかってきますよ、という目安となっています。そこで、支出のない経費である減価償却費を活用するのです。三つの目の投資物件を買うときには、元利均等ではなく、減価償却費を初年度から多く見こめる元金均等支払にして、急増していく所得税と相殺させるのです。
このように、不動産投資は、経済環境の変化、金利の変動とともに物件の状況、経費のあり方などにも柔軟に対応していくことが求められるビジネスなのです。
そして、最終的に効率の良い収益構造にして、少しでもキャッシュフローを多く得るようにしていけばいいのです。ですから、初期プラン・中間プランも大事ですが、なによりも投資した物件をできるだけ長く持たせることです。
だから、不動産投資は長期的な運用ビジネスであり、今すぐお金を欲しい人には向いていない、将来に向ってお金の欲しい人に向いているというのです。
加えて、不動産投資は長期ビジネスですから、集客力のある建物の保持が重要なポイントになります。
すでに勉強してきたことですが、オーナーは必ず修繕費を積立ておき、建物のメンテナンスが可能な経済的な余力を残しておくことです。
とくに私は、投資物件として分譲マンションを求めているクライアントへは「分譲マンションを買うなら、管理組合がしっかりしていて、長期修繕積立金制度が設けられている物件にしなさい」とアドバイスをしています。そうすれば、修繕積立金を投資する人が自分で、キャッシュフローから捻出して貯めて置かなくて済みます。
また、最近の建物はそうではなくなってきましたが、むかしからの日本の家や建物は粗悪で、ヨーロッパやアメリカでは当たり前の100年、120年長持ちするアパートや住宅などにはめったにお目にかかれない。
不動産投資はオーナーの一代限りのものではなく、半永久的に続くものです。
長い期間、継続的に安定した家賃収入を得るためには十分な修繕費を確保し、まめにメンテナンスを行ない、ときにはリフォームと、建物の価値を保っていくことです。
オーナーの中にはキャシュフローを使い果たし、メンテナンスができなくて、先の大きな利益を得る前に投資物件を手放す人も少なくありません。
そのような失敗を避けるように心がけてください。
なお、住宅用物件の償却率は以下の通りになっています。
「鉄骨鉄筋コンクリート造りまたは、鉄筋コンクリート造り」0.022、「金属造りのもの(骨格材の肉厚が四ミリを越えるもの)」0.030、「軽量鉄骨造り」0.037、「木造または合成樹脂造りのもの」0.046。
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