倉橋レポート
2009年11月23日
資産家のあなたは、狙われている(23)
人気ブログランキング 本日も投票はこちら
昨日、画家の秋本馨氏と久しぶりに会い、昔話に花を咲かせた。
やはり、画家の世界も厳しいようで、アトリエを郊外に移すことを検討しているということで相談にのったりしているのであるが、ぜひ、三浦半島に来ていただきたいということで、結局、三崎、城ヶ島界隈を案内して、その後、食事をしてわかれた。
この秋本馨氏は、私より2歳下なのだが、昔は「テンペラ」という技法の絵画を中心に活動していたのだが、この技法、絵の具の変わりに石を粉砕して卵の黄身でといて書く、というもので、結構、手間の掛かる技法の為、日本では、あまり採用している人が少ない。
当社の本部に掲げてあるのが、彼のデビュー作「ニルスノヤコウセン NIRUSUNOYAKOUSEN」。
岩石を書き始めたら飛行船になってしまった、という作品らしい。
テンペラの複合らしいのだが、不思議な味わいのある作品である。
今日は、横浜本部で会議の連続。
いま、ちょっと時間が空いたところである。
では。
相続に付け込む、取り込み詐欺!(23)
山田も、本来なら同様で、現状の日本の法律では、なんら保護されることがない。
「このお金、どこに流れたんだろうね」倉橋は、秘書の小林、山田、そして篠原弁護士との打ち合わせの席で溜息混じりに言った。「この詐取した金額の総計って、10億円できかないよね」
「私も、何処かに隠しているとは思うんですよ」篠原弁護士も溜息まじりに、倉橋の意見を肯定した。「とても病人に使えるお金じゃないですよね」
「お父さん、権藤の前に、お金、騙し取られていた訳じゃない。ひょっとして、その組織に召し上げられたんじゃないかな」倉橋は、反社会的組織の中に、かような不動産詐欺のプロフェッショナル組織があるのではないかと懸念していた。「所有権と抵当権、占有権などのそれぞれ特徴を利用した、素人には分かり辛い法律を巧みに使っている所をみると、それなりの専門家がバックについて動かしてるんじゃないの」
「本当に、馬鹿なことをしました」山田は、自分がしたことではないのに父が行ったことで責任を感じていた。「私がもっと、父とのコミュニケーションをとっていれば、こんなことにはならなかったと反省しています」
「そうなんですよ。世の中、山田さんのような人は本当に多い」倉橋は、山田を慰めるように言った。「資産家や地主はさ、相続のことは常に考えておかなきゃいけない。親子でいつも話し合ったり、知恵を出し合ったりしていれば、山田さんのお父さんも、1人で苦労しなくて済んだのかも知れないね」
「多分、父も、かなり最初の事件でストレスを感じていたのかもしれません」山田は、下を向き、後悔しながら言った。「結局、父は、家族に苦労をかけまいとして、私にも母にも相談せず、1人で悩んでいたのだと思います」
「今度は、山田さんの番だからね。その際には、後継者と相談しながら、資産継承を図って行かなきゃね」倉橋は、冗談ともつかないことを山田に言った。
「もちろん、そのときは先生にいろいろ相談に乗って貰います」山田は明るい表情で言った。「ただ、先生のほうが私より、随分、年が上だから、先生には長生きしてもらわないと」山田は、そんな冗談を言い、談笑しながら今後の計画をみんなで話し合った。
「とりあえず、2億5000万円の和解で持ち込みましょう」倉橋は、篠田弁護士に言った。
人気ブログランキング 本日も投票はこちら
2009年11月19日
資産家のあなたは、狙われている(22)
人気ブログランキング 本日も応援の一押しはこちら
昨日、重版の校正が終わり、間もなく重版される。
かなり、いい感じに販売が進んでいるらしく、私自身の出版記念講演の販売部数も足りない状況に陥っている。
まったく、ありがたいことである。
昨日、FMヨコハマの収録に行ったが、リスナーの反響もまずまずのようである。
※毎週水曜日、朝8時15分頃。「ここが知りたい不動産」という番組を持っているので、ぜひ、お聞きください。
本日は、2週間ぶりに休日をとり、先週買った物件の確認と、新たに購入する物件の打合せに行ってくる。
また、来月早々、久しぶりにゴルフに行くことになっているので、少しは練習でもしようかと、出っ張ってきたおなかをさすりながら、考慮中。
では。
相続に付け込む、取り込み詐欺!(22)
「倉橋先生、きましたよ、連絡が」篠原弁護士から電話が入った。
「どう、買主は」倉橋も、結構、楽しみにしていた朗報であったため、会議の最中であったが、電話口に出て対応した。
それは、当時、結構、名が通った外資系のファンドであった。
「取り急ぎ、和解に向けた話合いを行いますか」篠原は、倉橋に言った。「もちろん、当事者ではないので、拒否することは可能ですが」
「いや、それは得策じゃないよ」倉橋は、電話口でいろいろと考えながら、慎重に話した。「この土地に巨額な抵当権が付けられている所を見ると、今となっては、長期で争って売却のチャンスを逃せば、とてもこんな金額で売れる土地じゃない。取りあえず、話だけは先生のほうで聞いておいてもらって、取引がポシャらないように、売買の話を繋ぐ努力だけはしておいてください」
倉橋は、当時、ファンドの不動産取引の異常性を感じ取っていた。本来、ファンドというのは、他人の資金を使って投資をするわけだから、高い収益性を求めて仕入れ金額を最大限圧縮しなければならない筈であるが、当時は、ファンドバブルとでも言おうか、ファンドの連中は、資産拡大を求めて買い続けなければ彼らの収益に繋がらず、かなり高値でも買い続けていたのが実態である。
IRR(インターナル・レート・オブリターン 内部収益率)、つまり不動産の将来価値を盛り込んだ投資計画に無理があり、欧米で開発された金融工学がもたらした投資概念が、古い借地借家法が温存された日本の市場には向かないものであることを外資系ファンドの連中が思いもよらなかったことで、高い購入相場を繰り広げていた。
海外の建物賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約が普通であり、賃料の値上げを借主と協議して定めることはない。契約の満了時期に貸主が一方的に次の賃貸条件を通知すれば足り、その条件に借主が不服であれば、再契約をしないで出てゆくしかない。つまり海外の不動産投資においては、常に相場に基づいて賃料等を値上げできるわけだから、必然、物価上昇率に応じた賃料相場を維持でき、不動産価格もそれに準じて上昇させることができる。これらを前提で当時の外資系ファンドは、将来価値を割り出した投資指標で日本の不動産の購入を繰り返していた。日本の普通建物賃貸借契約における「法定更新」などという概念はほとんど知らずに、である。
「とりあえず、この土地は、彼らに買ってもらいましょう」倉橋は篠原弁護士に伝えて、電話を切った。
その後、信託会社から保全抗告がなされ、抵当権者、土地購入者から損害賠償請求が山田側に対して提訴された。とりあえず損害賠償請求事件については、保全抗告の決着を見てからということで期間は延期されたが、かなり厳しい状況に陥った。
権藤の会社に騙された人たちは、破産管財人が開示した債権者リストを基に個別調査して分かった。彼らから事情を聞いて見る限り、案の定、権藤は詐欺師であった。
不動産を騙し取る手口は巧妙であり、母親が教職についていたことで相手を信用させ、次々と不動産を騙し取っていた。
例えば、近隣の再開発をするという名目で高い価格を相手方に提示し、手付金相当額を支払って所有権を移転させ、代替物件の提供で占有移転を行う。その代替物件には、高額な抵当権が付されており、騙し取った土地は転売して利益を得ながら、代替物件の抵当権は抹消されない。結局、気がついたときには、その代替物件は競売に掛けられて、騙された人は、やむなくその不動産から退去せざるを得なく、結局、住まいと全財産を失っている。かような手口で騙された人は多い訳だが、誰もが権藤の破産、および死亡によって請求権すらなくなってしまっているのである。
人気ブログランキング 本日のランキングの確認はこちら
2009年11月18日
資産家のあなたは、狙われている(21)
昨日、北九州から戻り、本日は、FMヨコハマの収録。
人気ブログランキング 本日も応援の一押しはこちら
本当に、飛行機は便利だ。
福岡、東京間が、1時間半程度。
昔は、飛行機に乗って出張!などと、喜んでいたが、これだけ頻繁に乗ると、新幹線と変わらない。
飛行機は、特別のものと昔は思っていたし、ちょっと飛行機で旅行に行こうものなら、餞別をくれたりしたものだが、最近は、土産すら買わなくなった。
時代は、変われば変わるものである。
では、今日も一日、元気で、行って来ます!
相続に付け込む、取り込み詐欺!(21)
そもそも、今回の事件は、土地自体、既に第三者に所有権の移転がなされ、おまけに更なる第三者に信託登記までされてしまっている手遅れ的な法的手続きであるのに、裁判官も異例な取り扱いをしてくれたものである。その上、信託受益権の仮差押えなど、篠原弁護士も倉橋自身も、かなり難しいものと考えていた。
「倉橋先生、ビックニュースです」いつもメールのやり取りをしていた篠原弁護士から倉橋の執務している港南台の事務所に電話が入った。「驚かないでくださいね。信託受益権の仮差押えが通りました」
「それって、篠原先生、よほど自信がなかったんだね」倉橋は笑いながら篠原弁護士に言った。「しかし、よく裁判所が認めたよね」
「先日、先生からお話があった、例の山田さんのところへの嫌がらせの電話の件を話したのが良かったのかもしれません」自分で手続きをしながら、自分自身も、意外に簡単に裁判所が認めてくれたことを、いまだ信じられない様子で篠原弁護士は言った。「それに、先日、山田さんに書いてもらった陳述書も、心証は良かったと思いますけど」
今回の事件は、あまりにも現実にかけ離れた詐欺事件であった為、裁判所も、慎重に審理を繰り返し、仮処分手続きにも消極的であったが、その分、事実関係を立証する為、陳述書や証拠書類もかなりの数を提出していた。事件が分かり辛く、損害額が巨額な為、裁判所もようやく篠原がその都度書類等を提出しながら説明を繰り返してきたことで、今回の事件の全容が分かってくれたのではないかと考えられた。
「それは、篠原先生の粘り勝ちだな」倉橋は、率直に篠原弁護士に言った。「普通、無理でしょ。ま、先生、山田さんにも先生から説明してあげてください。喜びますよ」
街は、桜が芽生えだした時期だった。冬は、いつまでも続かない。
トラブルに巻き込まれている最中とは、盲目的に、そして憶測の範囲で、暗闇の中を彷徨ってしまうものであるが、気がつくと、何かのきっかけで解決策が見出され、必ず終局するものである。弁護士や、倉橋のような不動産コンサルタントは、いつも問題の解決にあたっており、経験的に鳥瞰的に解決に向けての明かりが見える瞬間がある。
このとき、山田自身が気付いたかどうかは分からないが、倉橋と篠原弁護士には近い将来、急速的にこの事件が解決できる見通しがつくことを肌で感じていた。
人気ブログランキング 本日の順位確認はこちら
2009年11月09日
資産家のあなたは、狙われている(20)
遅ればせながら、20話。
人気ブログランキング 本日も投票はこちら
本レポートは、既に小冊子化が出来ています!
相続に付け込む、取り込み詐欺!(20)
「倉橋先生、訳のわからない人たちから嫌がらせのような電話が来ていますが大丈夫でしょうか」信託物件の所有権移転禁止の仮処分が裁判所に受理されてから間もなく、山田の自宅には脅迫めいた電話が数多く鳴った。「今回の取引に絡むものだというだけで、身分を明らかにしないんですが、この仮処分を取り下げないと、大変なことになるみたいなことを言って来ています」
「ま、脅しでしょ」倉橋は、落ち着いて説明した。「権藤も、中岡不動産も、札付きのような人たちですから、彼らの利害関係人が慌てて連絡してきているだけです」倉橋は、各方面から情報を仕入れており、権藤は、反社会勢力の組織に所属した経験があり、この詐欺事件を巻き起こした時点では、組織から離脱していた事実が判明していた。 「彼らは、脅しはするかもしれませんが、実際に、実力行使をすればどうなるかを自分たちが良く知っていますから、山田さんは、裁判所にお願いしていますので、どうぞ、裁判所に言ってください、というようなことを伝えてくれれば、それで構いません」
山田所有の不動産には信託登記がなされており、間もなく外資系ファンドに売却される直前であった。
かなり手口は巧妙であり、権藤も中岡不動産も、山田が気付いたときには、すべてのことは済まされている状態にしてある。例えば、権藤に対する損害賠償の請求がなされ、それが認められたにしても、支払能力のない権藤に対する債権であるから無意味だし、また、土地の返還請求が成功したところで、土地の価値以上に設定されている抵当権があるわけで、その抵当権を外すことができなければ、いくら所有権が帰ってきても競売等で処分されてしまうから意味がない。
「篠原先生、信託受益権への差押えはできませんか」苦肉の策で倉橋は、篠原弁護士に電話をかけて話した。「山田さん、このままだと精神的に潰れちゃうかもしれない。普通の人は、ああいった連中から連絡が来るだけでも疲れちゃうもんね」
「そうですね。私自身も、そういう提案をしようと思っていた所でした」篠原弁護士も、倉橋と同様の考えがあり、本件の長期戦は望んでいなかった。「やっぱり、倉橋先生の言ったとおりの連中のようですね。ただ救いは、信託登記になっていますから、出口的にはファンドに売却する方向だと思います。信託受益件を押えて、買主側から、慌ててアクションがあると助かりますけどね」
信託登記がなされている以上、その信託に瑕疵があればファンドの組成などできない。所有権移転禁止の仮処分だけでも有効だが、売買代金などの受け渡し等の信託受益権を差し押さえてしまえば、資金も動かすことができず、本件土地の買主が炙り出されてくるのではないかと倉橋も篠原も考えていた。
「ここまでくれば山田さんには、リスクも何もないよね。取りあえず、怯まないでやれることをやろうよ」倉橋はちょっと気弱な篠原に、明るく励ますような口調で言った。
人気ブログランキング 本日の順位確認はこちら
2009年11月03日
資産家のあなたは、狙われている(19)
現在、名古屋講演に向けて移動中!
人気ブログランキング 本日も投票はこちら
そういえば、5日にテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」という番組に登場する。
最近、テレビ見ましたよ!という声を聞くが、ここの所、数回、あちこちのテレビに登場している。
なかなか自分でみることは無くなってしまったが、せっかく出るならブログで告知してください!との声があったので、告知する。
この番組には、3回目の登場になるが、午後11時からの放映ですので、お時間がある方は、ぜひ、ご覧ください。
当社、PM事業部の呉山君たちも登場します!
では、行って来ます!
相続に付け込む、取り込み詐欺!(19)
「先生、大変なことになりました」こちらから篠原弁護士に電話を入れようと思っていた所、篠原弁護士から倉橋に事務所に電話がかかった。「権藤が、亡くなりました」
「しかし、面倒なことになったな」しばらく沈黙してから倉橋が言った。「ま、中岡不動産が存在するから、進行には影響ないか」
「そうですね」篠原弁護士も、倉橋の話に同調するように言った。「すでに破産してしまっていますから、こちらは粛々と事務手続きを進めるしかないですね」
倉橋は、篠原弁護士に、打合せ後の山田の意向を伝え、取りあえず急いで手続きをしてもらうように話をした。
裁判の場合、原告、被告、今回、仮処分の申し立てであるから、この場合、申立人、相手方と呼ぶが、いずれも当事者として争う。今回の場合、申立人の山田側も、相手方の1人、権藤が亡くなったとなれば事務手続きの変更に時間が掛かってしまうし、裁判所とも打合せを繰り返さなければならない。その為、篠田弁護士は、その打合せの詳細について、逐一、電子メールで全員に同報して報告してくれていた。
ただ、裁判所の窓口の扱いにも不満は募るし、転売されてしまっては、保全手続きの意味すらなくなり、裁判は長期化し、新たなリスクも発生してしまう。
「信託中の不動産の差押えについては、可能であることの確認はできましたが、実はこの土地に5億円を超える抵当権が新たに設定されてしまっています」篠原弁護士は、電子メールで山田と倉橋、そして秘書の小林に報告してきた。「詳細について、当事者である山田様のご家族に詳細を説明したいと考えますが、如何でしょうか」
「私としては、前回、倉橋様より充分な説明を受けていますし、我々は、法律的には素人です」山田は、同報の電子メールで篠原弁護士に回答した。「倉橋様、小林様に、全権限を委任してお願いしていますので、どうか存分に手続きを進めてください」
「しかし、我々、弁護士としてもリスク説明をしないまま手続きを行うことは、若干、不安を覚えます」不動産評価を超える抵当権が設定された不動産に、仮差押え手続きを行って、依頼者に負担を強いる結果となる可能性があることに抵抗を感じたのか、篠原弁護士のかなり慎重な態度が窺えた。「山田様のご家族様と、倉橋先生と同伴して打合せをさせて頂くわけにはいかないでしょうか」
「篠田先生へ 山田側も私も腹を括って、この仮差押えに臨んでいます」倉橋は篠原弁護士の弱気な態度に速度が遅れることを恐れ、作戦に出た。「あとは篠原先生がどれだけ、弁護士のプライドをかけて戦えるか、だけだと思います」
「倉橋先生へ 転売される可能性は当方も十分承知しています。本件は、利害関係人が多数存在し、法律関係が複雑です」篠原弁護士は倉橋の電子メールに明らかに不快感を持って回答した。「中岡不動産は、権藤の会社からの直接の転得者ですが、現時点では信託受益権の登記が行われています。つまり、相手方は信託を受けた者であり、さらに山田様からは、かなり離れた地位にあります。権藤の会社の財産に対して仮差押をかけるような単純な事例ではありません。さらに多岐に渡り、根抵当権、信託登記もたくさんついて、分析するのも、資料のコピーをとるのも時間がかかることをご理解下さい。私は全ての私生活を捨て、土日も事務所にでて資料を分析し、何度も法律構成を考え、何度も仮差押申立書、仮処分申立書を書き直しました。私なりにプライドをかけて全力しているつもりです」
「篠田先生の努力も分かっています。しかし我々の仕事は、結果が全てだということです」倉橋は、彼の将来性に賭けて、突き放すように返事を書いた。「我々は、今更、法律を学ぼうと思っていません。先生には、法的手続きをお願いしているのです」
これには、更に篠原弁護士は強い不快感を持ったようだが、これ以上、進行を遅らせるわけには行かないし、倉橋と山田の中では、方針が決まっていた。何より今更、篠原弁護士が山田の家族に詳細を説明することにより、家族の誰かが不安感を持って、この差押え手続きを取り下げるなどとなっては、さらに進行度合いが遅延する。
その日から篠原弁護士は、更に睡眠時間をも削って、この事件に没頭してくれた。
差押える土地は12筆に分かれており、山田側の相続人は4人である。この12筆の土地をそれぞれ区分して仮差押えを行うわけだが、この作業だけでもかなりの時間が掛かる。その上、裁判所の見解がぶれる為、いちいち裁判所に篠田弁護士は足を運んだ。
「倉橋先生、一定の条件付ですが、裁判所で、仮処分と仮差押えの申立ての受理ができることになりました」篠田弁護士から、倉橋の事務所に電話が入った。その声は年齢に相応しい明るい声だった。
人気ブログランキング 本日も順位確認はこちら